中小事業者への経済支援 セーフティーネット保証

中小事業者への経済支援 セーフティーネット保証

新型コロナウイルスの感染拡大防止策の影響により、経済活動が深刻なダメージを受けています。イベントの延期や中止、開店時間の制限や営業自粛のあおりを受け、企業のみならず、小規模事業者や個人事業主も、直近の売上が大幅に減少し始めているようです。

企業に対する救済措置として、中小企業庁は「セーフティーネット保証」と呼ばれる経済支援を実施すると発表しました。本記事では、セーフティネット保証4号とセーフティネット保証5号について説明します。

※こちらの記事は内容が古い可能性があります。

セーフティネット保証とは

中小企業や小規模事業者、個人事業主の事業資金繰りの保証としてつくられた「中小企業信用保険法」という法律があります。セーフティーネット保証は、この法律により定められた制度のなかのひとつです。

セーフティネット保証は1号から8号まであり、災害時の保証や大手企業、金融機関が破綻したときの保証など、有事の状況によって対応が分かれています。

今回の新型コロナウイルスのケースでは、事業に支障をきたしている企業に対して、経営を安定させるための資金としてセーフティネット保証4号・5号の利用が認められることとなりました。

セーフティネット保証4号とは

内容

新型コロナウイルス感染拡大防止の影響を受け、売上高等が減少している中小企業者・小規模事業者・個人事業主の資金繰りを支援します。
事業者が民間金融機関から借り入れた資金について、信用保証協会が100%の金融機関への返済を保証します(最大2億8000万円まで)。
そのため、万が一事業者から金融機関への返済が滞った場合は、信用保証協会が代わりに返済をし、借主である事業者は、信用保証協会に対して返済をすることになります。

対象者

新型コロナウイルスの影響で安定的な経営が難しい事業者の中で、次の項目に当てはまる人。

  1. 3ヶ月以上、1年1か月未満事業を継続して行っている。
  2. 直近一年以内に店舗を増設したなどして、売り上げの単純な前年比較が難しい。

認定の基準

以下のいずれかと比較して、直近1ヶ月の売上高が20%以上減少していること

  • A 直近1ヶ月を含む直近3ヶ月
  • B 令和元年12月の売上高
  • C 令和元年10月〜12月の平均売上高

ただし、B,Cには下記のような条件も設けられます。

  • B 向こう3ヶ月間(※脚注1)の売上高と令和元年12月の売上高の3倍を比較し、20%以上の減少見込み
  • C 向こう3ヶ月(※脚注1)の売上高見込みと令和元年10〜12月の3ヶ月の売上高を比較し、20%以上の減少見込み

※脚注1
「向こう3ヶ月」は直近1ヶ月を含みます。

参考リンク・セーフティネット保証4号の概要

セーフティネット保証5号とは

内容

一定の業種に属する中小企業、小規模事業者、個人事業主を支援するための措置。特に全国的に景況が悪化している業種に対して実施されます。2020年3月3日、経済産業省は特に重大な影響が生じている業種として宿泊業や飲食業など40業種の追加を発表し、3月24日現在では合計316種となりました。

2020年5月15日追記:令和2年度4月補正予算案の成立に伴い、全業種がセーフティネット保証5号の対象となりました。また、政府系金融機関や信用保証協会による融資や保証の対象外になっている業種も見直される予定です。

セーフティネット保証5号も、最大2億8000万まで民間金融機関からお金を借入ることができます。4号との大きな違いは以下2点です。316種の指定業種のみが申請可能。 全業種申請可能。万が一、事業者から金融機関への返済が滞った場合、信用保証協会が事業者の借入額の80%を金融機関に対し返済。残りの20%は、民間金融機関の負担となる。

対象者

2020年3月18日時点で、指定を受けた業種に属する事業をおこなっていること。(対象業種316種)
参考リンク・経済産業省「新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策を講じます」

認定の基準

指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少していること。
2月以降直近3ヶ月の売上高が算出可能となるまでは、直近の売上高等の減少と
売上高見込みを含む3ヶ月間の売上高等の減少でも可。
また、指定業種に属する事業を行っている中小業者で、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていていないこと。

参考リンク・セーフティネット保証5号の概要

セーフティーネット保証を受けるために必要な書類と手続き

4号と5号、いずれを受けるにしても手順や持ち物はほとんど同一です。5号を受ける場合は、4号と同一の書類に加え、自身の事業が指定業種に属することを証明する何らかの書類が必要になります。

必要資料

※各市区町村役所ごとに記載内容が違うため、必ず各市区町村のウェブサイト内にあります「セーフティネット保証5号」のページを確認しましょう。

  1. 認定申請書(各市区町村役所にて配布もしくはダウンロード)2部
  2. 同意/誓約書(各市区町村役所にて配布もしくはダウンロード)1部
  3. 確定申告書・決算書(直近1期分)
  4. 法人事業概況(会社概要)説明書
  5. 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
    (3ヶ月以内発行のもの、個人事業主は不要)
  6. 対象の直近3ヶ月の売上高等を月別に確認できる書類
    (月別の試算表、帳簿、売上台帳、試算表、損益計算書、売上比較表など)
  7. 指定業種であることが確認できる書類 ※5号受給時のみ
    (4と兼用可能ですが、取引伝票、製品案内・サービス案内パンフレット、許認可証の写し等証明できるものが必要)

必要な手続き手順

  1. 必要資料を持参し、事業を行う各市区町村の役所に提出します。
    ※市区町村ごと担当課が違うためwebサイトを確認しましょう
  2. 提出後、市区町村役所にて認定書を発行してもらいます。
  3. 金融機関に認定書を持参し、保証付き融資を申し込みます
  4. 金融機関から発行された申込書を信用保証協会に持参し、セーフティーネット保証の利用を申し込みます。

なお、信用保証協会により代位弁済がなされると、借主は信用保証協会に対し、年利14%の損害遅延金を払わなくてはならないため、その点は注意が必要です。セーフティーネット保証を利用する際、契約内容について細心の注意を払って確認しましょう。

公式情報と相談窓口をセットで確認

セーフティーネット5号に指定業種が急遽増やされたことからも分かるように、状況に応じて保証制度は都度アップデートされています。必要な情報を正しく入手するには、まずは経済産業省など公的機関による情報のアップデートを確認しましょう。

加えて、困りごとに対応してくれる各種相談窓口を確認しておくと、いざというときにも落ち着いて行動に移せるはず。情報だけでなく、自分の困りごとを相談できる場所を確保しておくよう心がけるとよいでしょう。

経済産業省のコロナウイルス対策ページ

中小企業金融相談窓口のお知らせ

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