経済的な困り事のある個人事業主が今すぐ頼れる社会保障

経済的な困り事のある個人事業主が今すぐ頼れる社会保障

※注:本記事は第二次補正予算案の成立に伴い、2020年10月23日に加筆修正しました。

新型コロナウイルス感染症(以降、新型コロナ)の影響により、経済的な支援を必要とする個人事業主に対して、政府からの補償が拡充されつつあります。この記事では、特に「できるだけ早く、確実に資金が欲しい」という緊急度の高い場合に利用できる制度について、概要やメリットなどをお伝えします。

緊急小口資金(特例貸付):今、すぐに、確実にお金が必要な人への貸し付け

内容

売上高が減少するなど、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった世帯を対象にした20万円以内の貸付。審査が通れば一括交付となります。

特徴

借りやすい

  • 連帯保証人は不要
  • 無利子・無担保
  • 早ければ申請から1週間程度で入金

返済の負担が少ない

  • 返済期間は2年以内
  • 月1万円以下、24回払いの返済も可能
  • 「据置期間(利子のみを返済すればよい期間)」が1年間設けられているため、無理なく返済しやすい
  • 償還時点でも所得の減少が続いている場合(住民税非課税世帯)は、償還が免除になる
  • ただし、返済が2年で完了しない場合は、残金に対して年3%の延滞料利子が発生する

申請の手続き

お住まいの区市町村社会福祉協議会に電話で予約を取り、必要な書類等を持参して申請します。

必要な持ち物

  • 本人確認書類
  • 住民票の写し:世帯全員記載、発行3カ月以内のもの
  • 預金通帳:新型コロナの影響による減収や、税金・社会保険料・公共料金等の支払いが確認できる預金通帳
  • その他、社会福祉協議会が指定する書類
  • 印鑑

※注:通帳で減収や税金等の支払いの確認ができない場合は、日常的に入出金を行っている預金通帳、もしくは給与明細等の収入が確認できる書類を持参するとよいでしょう。

特記事項

初回貸付・再貸付の申請期間が2021年6月30日まで延長となりました。

参考資料

厚生労働省|緊急小口資金について(外部リンク)
※注:各地域の社会福祉協議会から詳細が発表されています。お住まいの自治体のアナウンスを確認してみましょう。

小学校休業等対応支援金:子どもの世話により仕事ができなくなった個人事業主を対象にした給付金

内容

委託を受けて個人で仕事をする保護者に対する支援。子どもの世話をするために契約した仕事ができなくなった日があった場合、下記①②を支給対象期間として

①2020年10月1日〜12月31日
②2021年1月1日〜12月31日

1日当たり7,500円を給付します。休校や子どもの新型コロナ感染などにより、委託を受けた仕事ができなくなった個人が対象です。

特徴

対象が広い

  • 「保護者」=実際に子どもを監護している人(祖父母や未成年後見人、子どもの世話を一時的に補助している親族なども含む)が対象
  • 小学校や幼稚園・保育所だけでなく、フリースクールや学童クラブ、認可外保育施設、一時的な子どもの預かり施設、障害児の通所支援施設が利用中止になった場合も対象となる

申請の手続き

必要書類をそろえ、学校等休業助成金・支援金受付センター(〒137-8691 新東京郵便局 私書箱132号)に特定記録など記録が残る形で郵送します。
※注:子どもの休校により申請する場合は、休校決定よりも前に業務委託契約が締結されていることを示す何らかの書類が必要になります。

必要書類

  • 支給申請書
  • 支給申請する期間によって申請書類が変わります。下記厚労省のWebサイトをご確認ください。
  • 保護者(別居)申立書
  • 業務委託契約等契約申立書
  • (上記はいずれも厚労省のWebサイトからダウンロード可能)
  • 住民票記載事項証明書 原本
  • 契約内容が分かる業務委託契約書または電子メールのやりとりの写しなど
  • 小学校等で臨時休業等の措置が講じられた日や期間が分かる学校だより、小学校等のWebサイトや電子メールなどでの通知の写し
  • 申請者本人名義の預金通帳またはキャッシュカードの写し

特記事項

申請期間が支給対象日によって異なります。

  • 仕事ができなかった日:2020年10月1日〜12月31日
    令和2021年3月31までに申請(消印有効)
  • 仕事ができなかった日:2021年1月1日〜12月31日
    2021年6月30日までに申請(私書箱必着)

令和3年6月30日まで支給申請期間が延長しました。

参考資料

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)

生活に困った際に頼れる経済支援

上記で紹介した制度以外にも、休業、廃業に伴う収入減少や生活困窮を支援するために、次のような制度もあります。

住居確保給付金

「就労能力はあるが、経済的な困窮により住む家を失った(あるいは、失うおそれがある)」という人に対し、原則3カ月を目安に給付されます。求職活動を行っている場合は最大9カ月まで延長が可能です。2年以内に離職、廃業をしており、申請時点で経済的困窮が認められれば、アルバイト等に従事していても支給の対象となります。

第二次補正予算案の成立に伴い、支給対象となる要件が緩和されています。今後も変更の可能性があるため、詳細は公式Webサイト(外部リンク)をチェックしてみましょう。

また、離職、廃業をしていない個人事業主も、対象となる求職者と同等の経済状況であることが認められれば、支給対象となります。

支払額は給付金が世帯の状況によって算出方法が変わるため問い合わせが必要です。お住まいの自治体の自立相談支援機関(外部リンク)に連絡し相談してください。

生活保護

また、生活が困窮している人は、最低限度の生活を保障する生活保護制度も視野に入れるとよいでしょう。基準として定められた最低生活費から、現在の収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。年齢が若かったり、持ち家や車などを所有していても、条件次第では支給の対象となります。

受給を検討する際は、各地域の福祉事務所(外部リンク)や町役場の生活保護担当課に相談しましょう。

参考Webサイト

生活保護制度について(厚生労働省)(外部リンク)

状況の見通しを立てにくい今、先々に備えて早めの準備を

現在、多くの事業者に対する支援策が打ち出され、内容が日々アップデートされています。SNSやニュースサイトの情報などに安易に流されず、各制度の詳細は必ず公式情報で確認するようにしましょう。

状況の見通しが立てにくい今、多くの人々が不安を抱えているかもしれません。いざというときにどのような制度があり、何が必要であるかを日頃から認識しておくことで、安心にもつながります。「正しく知ること」を念頭に置き、適切な情報収集を心がけるとよいでしょう。

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