育児中の保護者が感染した場合の、子どもの見通し

育児中の保護者が感染した場合の、子どもの見通し

もし自分が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したら子どもはどうなるのかという不安やストレスを抱えている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、子どもを安心して任せられる他者がいない状況で、保護者が陽性になった場合の子どもの養護について、主に東京都の対応についてまとめました。

検査陽性になった場合の基本的な流れ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われ、PCR検査等の行政検査の結果が陽性となった方は、入院治療することが基本となります(2020年10月執筆時時点)。ただし医療現場の負担軽減を目的に、持病のある方や65歳以上の高齢者を除き、無症状や軽症の場合は、ホテルなどでの宿泊療養を基本とする地域も多くあります。

入院または宿泊療養を基本としながら、しかし、さまざまな家庭の事情により自宅での療養を希望する方が多いという現状をふまえ、自宅療養の対象基準も徐々に整備されつつあります。東京都も、無症状であれば、自宅療養も選択可能になることが多いようです。

保護者が検査陽性で無症状の場合

子どものいる保護者がPCR検査等の行政検査を行い、結果が陽性であった場合、生活をともにしている子どもも、濃厚接触者として検査対象となります。

そして、仮に子どもも陽性であった場合は、従来の原則では、保護者も子どもも、入院が勧告されます。ただし、陽性の保護者自身も子どもも全員が無症状の場合は、自宅療養を勧められることもあります。

もし子どもが陰性であった場合は、ほかに頼れる親族や身内がいるならばそこに子どもを預け、陽性者のみが入院することが勧められます。

しかしながら、偽陰性(本当は感染しているのに検査で陰性と出ること)の可能性も考えると、高齢者、妊婦、基礎疾患のある方など、感染した際の重症化リスクが高い方には、濃厚接触者である子どもを預けることを避けた方がよい場合もあります。そのほかにも、家庭ごとのさまざまな事情に応じて、子どもを誰がどのように養護するのかが保健所などで個別に判断されます。戸籍などに基づいた一律的な判断ではなく、状況に応じて検討されるので、不安がある場合は状況を具体的に伝えて相談してみてください。

子どもの一時保護が必要と判断された場合は、保健所と児童相談所が連携し、病院、宿泊所、一時保護所などで保護されることになります。

保護者が検査陽性で症状がある場合

一定の症状がある場合には、自宅療養は難しく、原則入院となります。

そして子どもを預けることが難しいと保健所が判断した場合は、保健所から児童相談所に連絡が行き、児童相談所が、子どもの一時保護について検討します。

なお、東京都内の児童相談所は、「東京都」が管轄する児童相談所と、特別区と呼ばれる「区」が独立して管轄する児童相談所があります。特別区は2020年10月の執筆時点では、荒川区、江戸川区、世田谷区の3区ですが、要請中の区もあり、今後増えていく見込みです。次の東京都福祉保健局ウェブサイトより、お住まいの地域を担当する児童相談所を確認できます。

東京都児童相談センター・児童相談所一覧

実際の子どもの一時保護の方針等について、東京都内の各児童相談所に確認したところ、いずれもケース・バイ・ケースであることを強調しながらも、次のような基本方針を回答いただきました。(以降、いずれも2020年10月執筆時点の情報)

東京都の児童相談所

特別区を除く「東京都」が管轄する児童相談所の場合は、子どもの陰性が確認できたとしても、児童相談所から連携先の病院に保護の委託を依頼し、子どもは入院という形で一時保護となります
児童相談所の一時保護所は、感染をした方の家族の保護には使用しないということです。

荒川区の児童相談所

荒川区の場合は、東京都の方針に従い、子どもは陰性であっても濃厚接触者として一緒に入院することになります。保護者と子どもとが一緒に入院できる病院を探してもらえますが、同室になるかは病院次第になりそうです。万が一病室が足りない状況になれば子どもを児童相談所で一時保護することがあります。

江戸川区の児童相談所

江戸川区の場合も、東京都の方針に従い、子どもは陰性であっても一時保護入院するのが第一選択となります。まずは保護者と子どもとが一緒に入院できる病院を探してもらえます。親子で入院できるところがなかった場合は、江戸川区の児童相談所が一棟借り上げる民泊施設で、子どもを一時保護することとなります。

世田谷区の児童相談所

世田谷区の場合も、東京都の方針に従い、子どもは陰性であっても一時保護入院するのが第一選択となります。まずは保護者と子どもとが入院できる病院を探してもらえます。それができない場合や他に預け先がない場合には、児童相談所の一時保護所内で保護を行うことがあります。

少なくとも東京都では、保健所も児童相談所も、感染防御に配慮しつつ、親子が分離されることを可能な限り避けようとしていることがわかりました。実際の具体的な対応は家庭の状況次第となりますが、本記事を通して、おおまかにでも見通しを持っていただければと思います。

なお、子育てをしていらっしゃる方は、お時間があれば、次の記事も読んでみてくださいね。しんどいとき、困ったときの相談先や、保護者が自分をいたわるためのヒントをまとめています。

また、次の記事では、ひとり親の方向けに「まずは知っておきたいサポート一覧」をご紹介しています。よろしければご参照ください。

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